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無銭優雅 | |
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「甘えっ子の気持ちになってるんだろう。反抗期のようなもんだ」と、父もまた衣久子と同じようなことを言う。
「パパったら平気なの?
パパが料理するなんて、今まで見たこともなかったよ」
「ママが、あんなふうにストライキ起こすのだって見たことなかっただろう? 新しい人生の始まりだ。めでたし、めでたし」
(中略)
「ママと出会って、もう50年近くになるんだな。慈雨、ひとりの異性とそんなに長く付き合う気持ち、解るかい?」
「解りません。解るわけないじゃん」
「そりゃそうだな。
それはね、50年前には、ものすごく長い道のりに思えたことが、実はそうでもなかったと知って、驚く気持ちなんだ。
その驚いた時点で、取り返しのつかないものが解る。
パパとママは、その埋め合わせをようやくし始めているのかもしれないね。つじつま合わせなきゃ死ぬに死ねないものね。
人間は良く出来てるね。
こんなに長く一緒にいると、
死ぬに死ねないことがいっぱいあるから長生き出来る」
「それって、ママの面倒を見るのにやり甲斐を覚えるってこと?」
「そうそう。あっちはあっちで、駄々っ子になることにやり甲斐持ってるぞ、きっと。
しかし、やれやれだな。女の機嫌を取るのが難題だってこと、数十年ぶりに思い出したよ」
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40代の中年男女が繰り広げる恋物語、『無銭優雅』(山田詠美著)。
「この年になったら誰にも気を使う必要はない」と
主人公たちはゆる~く恋愛しています。
そして生まれも育ちも今も中央線沿いに住んでいるから
そこに住む人たちとの交流もまた密接で
何でもないようなことがあたたかい目でつづられています。
うえはその一例、主人公の女性「慈雨」とそのパパとの会話です。
あるときママの、パパの過去の浮気への怒りが再燃し、
ママが誰とも話さずムスっとして、
食事も作らない、パパが作った食事でなければ食べないというストライキを起こしたのです。
ちょうど慈雨に恋人ができたことが発覚した直後だったので
「みんなママをおいてけぼりにしてっ!」と。
ふたりの恋模様よりも、そういった周辺事情の描写や視点が
共感できて気に入りました。
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