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父の縁側、私の書斎 | |
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女優の檀ふみさんが書いた、
東京石神井にある彼女の自宅と、父である作家・檀一雄さんにまつわるエッセイ。
作家さんを父親に持つだけあって文章がとてもうまく読みやすい。
以下、収録されているエッセイからひとつをご紹介。
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植木屋さんに入ってもらって「あれっ」と思った。一服していただく適当な場所がないのである。
「どうしましょう。どこにしましょう」と、お茶を抱えてうろうろしていると、植木屋さんは、「ここで結構」と玄関前の石の上にあぐらをかいて、鷹揚にお茶をすすった。
しかし、なにかが違う。美しくない。
もっと自然な形があったはず・・と、はっと、「縁側」に思い当たった。
昔むかし、わが家には濡れ縁があった。その濡れ縁に腰掛けて、職人さんたちはお茶を飲んでいたのだ。
職人さんだけではない。私たちがおやつを食べたのも、そこだった。日盛りには、犬がその下で昼寝をしていた。ご近所の人たちは、玄関から入らず、裏木戸を通って、縁側で話し込んでいった。子どもたちも直接そこに駆け込んできた。
夕涼み、日向ぼっこ、あやとり、お手玉・・・、目をつぶると楽しいイメージばかりが浮かぶ。
あんないいものを、なぜなくしてしまったのだろう。
「戦後、日本人が失ったのは、縁側である」
正確な言葉は忘れたが、森繁久弥さんが確かそんなことをおっしゃっていたように思う。
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私の祖母の、縁側も掘りごたつも五右衛門風呂もあった、古い家を思い出す。
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